【本の感想】中野信子著『科学がつきとめた「運のいい人」』は、「そうそう!そうなんだよね!」が連発でした

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 私には若いころから現在まで、ずっとおともだちの「のんちゃん(仮名)」という同級生がいます。短大時代に同じ専攻科で出席番号も前後で常に一緒にいた彼女。のんちゃんはそのころから私って運がいいんだよねと言っていました。この本のタイトルを見たときに、真っ先に彼女を思い出し、思わず購入(笑)
 数時間で読める軽めの書籍で、読むと、「そうなの!そうなのよ!のんちゃんそうだった!私もそういう思考でこれから生活していくわ!」と何度もうなずける内容の本でしたので、私のココロに響いた部分をちょっとだけご紹介します。

Bitly

そもそも「運」ってみな平等に持っていないよね?

 よく、人間は生まれた時から「運」の量が決まっていて、宝くじで大当たりを出してしまうと、「運を一生分使い切った」などと言います。
 神様は不公平で、なぜこんなに不運なんだろうって思ったことがある私。でも突きつめて考えていくと、「いや、これ私の考え方が悪いんじゃないかな」と心のどこかで運ということでは片付けられないものを感じていました。
 しかし自称「運がいい人」のんちゃんは、「失くしたものが見つかった!」「偶然大好きな先輩に会えた!」「懸賞当たった、ラッキー!」よくこんなことを言っていた気がします。当時は天真らんまんな彼女がうらやましく思えていました。

プロローグ 松下幸之助は「運がいいです」と答えた人を採用した

 本の冒頭で著者は、パナソニック創始者松下幸之助がいつも採用試験で必ずこの質問をして、運がいいですと答えた人を採用していたと言います。これは、運はそもそもその人が持ち合わせたものではなく、考え方、行動パターンで変わっていくものだと松下幸之助が知っていたからこその質問だったようです。運はコントロールできるのだとか。

自分なりの「しあわせのものさし」をもつ

 運のいい人は自分の価値観を大切にしていて、世間一般のものさしに合わせようとせず、大事なのは自分だと自信を持っています。
 自分なりのしあわせのものさしをもつ…それはどういう状態が自分は心地いいかを知ることだそうです。その状態を積極的に作り出す努力することで、自分はこれでいいんだという自分の願いと実際の自分が一致する状態、自身のことを好きで自信を持っている状態です。そういう人は心に余裕ができるからでしょうか、人の話も素直に聞けるそうです。
 私はついつい「これ好きって言ったら、みんな引くよね」とか「こんな年齢でこんなことやりたいとか笑われるよね」とか考えてしまいがち。自分なりのしあわせのものさしが見えていません。

運のいい人は長生き?

 人はいろんな選択をいろんな場面でやっていますが、やるべきか、やらざるべきかを選択するとき、運を呼び込むためには「面白そうかどうか」で決めることを著者はすすめています。やらなきゃならないと渋々やるより、面白いと思うことを嬉々としてやった方が幸福度が高いと。当然です。
 ロンドンで52歳〜79歳の約3800人を対象に行われた幸福度を評価する調査で、幸福度を主観的に感じている人の方が長生きだったという結果が出ているそうです。
 主観的に幸福度の高い人は免疫物質のナチュラルキラー細胞などが活性化して、ウイルスやがん細胞などをやっつける働きをすることがわかっています。運のいい人は考え方も「おもしろそう!」という視点で行動したりするので、「私って健康!長生きできてラッキー!」な状態なのですね。

「私ってラッキー!」と声に出すといいらしい

 人間の脳は「海馬」という脳の奥の方にある部分で記憶をするそうですが、そこで記憶されたものの一部が大脳皮質という大きな記憶媒体の場所に長期記憶として保存されていくのですが、記憶を脳に定着させるのに3週間はかかるらしい。なので、3週間は「私ってラッキー!」と声にだして唱えることを推奨しています。いやぁ、、、これって何気に恥ずかしくて難しい。
 のんちゃんは、自慢するでもなく「私って運がいいんだよね」と素直に自分が思ったことを口に出していただけのように思いますが、そのことがさらに彼女に運を呼び込んでいたんですね。

他者に勝ちたいという観点で動かない

 最近の世界情勢は、混沌としています。ウクライナ侵攻、アフガニスタン紛争、シリア内戦など。皆戦争で自己もダメージを受けることを知っていながら争いは終わりません。なぜ他者を無理に押さえつけようとするのか、力による勝負を仕掛けるのか。。。あのような国に生まれなくて私は運がよかったのか、報道を聞くたびに心が痛みます。
 本の中で著者は運のいい人は他者を思いやる人といいます。自分のことばかりでなく、周囲を思いやる行動をとることで、相乗効果で高いパフォーマンスを発揮し、またそのことで相手から感謝されたり褒められたりして、それが脳内の回路が活発に働きナチュラルキラー細胞が活性化するそう。
 先日のんちゃんはあるイベントで、演奏者の一人に少しテンポを上げてほしいと意見しました。年上だったからプライドが傷ついたのかカッとなったその方は、強い口調でのんちゃんに反論したのですが、別にマウント取りたいわけじゃないのんちゃん、イイ演奏にしたいから一歩も譲らず。私はハラハラしていましたが、イベントが終わってみたら素晴らしいものとなり、口調を荒げた演奏者に対してのんちゃん「おつかれさまでしたね〜」と普通にしゃべってる(笑)そしてまた次回の演奏はより良いものになっていき、次の仕事が舞い込みます。これはもう「運」とかというレベルではないか。

自分なりの「しあわせのものさし」で目標を決める

 運がいい人であるためには、自分が「こうなったら幸せ」という視点で目標や目的を測ることだそう。他人の意見や一般的な価値観で判断してしまうと、いろんな判断を誤ってしまい不運な人生を歩むことになりかねないと。この書籍で使われる「しあわせのものさし」これを自分なりに見極められることこそが、運を呼び込む秘訣のように思えます。
 そして、常に自分の夢や目標を考え、それが叶った自分を想像することでよりそれが現実に近づいてくるので、目標を紙に書くなどしてイメージすると良いそうです。そしてその紙を目にして自分の成功を妄想した時(笑)脳内にドーパミンが分泌されより夢の実現に向け実行する力が湧くといいます。

エピローグ 運のいい脳に仕上げればいいのだ

 そもそも「運のいい人」って、その人の考え方次第でできあがるものだから、運のいい脳に仕上げればいいだけ!ということでした。
 最後の章で、「運のいい人は祈る」とありました。私は仏教で育ったからなのか、あまり「祈り」というものに慣れていませんが、運のいい人になるためには、ポジティブに祈る、敵味方の隔てなく相手の幸せを祈る、と。
 十分に睡眠をとり早起きした朝に朝日を浴びながら祈れば、幸せホルモンと言われる「セロトニン」の分泌が促されるそう。朝は未来の自分の夢などを祈り、夜はその一日を振り返る。毎日これを繰り返し、しっかりと祈ることが大切だと著者は言っています。

 祈る、ということは慣れないことだけど、「ポジティブに考えること」「自分を好きになること」「好きなことに素直になること」「生活を整えること」など本の中には確かに見落とされがちな幸せになれる、運を呼び込めそうなヒントがたくさん詰まっていると感じました。

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